1限目 コンドームを知りたい

コンドームの素材

ゴム製コンドームの登場

コンドームが「ゴム製品」だということは今では当たり前の常識。
その“ゴム製コンドーム”が我が国で使われはじめたのは、江戸時代末期の安政年間(1850年代)になります。

当時信州上田(長野県)の英学者・赤松小三郎が記した日記には、「横浜で故郷の土産にルーデサック2個を買った」との記述があります。 この“ルーデサック”とは、ゴムを加工して造られたヨーロッパ産コンドームのこと。

この時代のコンドームは伸縮性があまり無く、現在のように柔軟性に優れた商品は、1870年代に加硫法という製法が発見されてから作られるようになります。
それでは、そのヨーロッパでのゴム製コンドーム製造の歴史を年代順にたどってみましょう。

■1844年
イギリスのハンコック社とアメリカのグッドイヤー社がゴム製のコンドームを共同開発。現在のコンドームの原型が生まれた。
■1870年代
強力な弾力性のあるゴムを作り出す加硫法(ゴムに硫黄と熱を加える方法)が開発される。
(これは近代ゴム産業における大発見!)
■1924年
イギリスのダンロップ社が遠心分離法により、ラテックスゴムを開発。現在のコンドームの主流となる。

日本でのラテックス製コンドーム誕生ストーリー

現在コンドームの主流原料となっているラテックスは、ゴムの木の樹皮を傷つけた時に分泌される液体のことで、丈夫なゴム膜をつくることができるのが特徴です。

日本でこのラテックスを使用したコンドームが製造されるようになったのは昭和初期に入ってから。オカモトの創業者である岡本巳之助がラテックスに着目し、製品化へ向けて研究を始めたことがきかっけでした。

この頃の国産コンドームは、単純な作りで品質もあまり高くはなく、原料が生ゴムのため、熱に弱く長時間が経つと腐ってしまうという問題も抱えていました。

そんな状況の中、巳之助は学術誌の翻訳記事でラテックスの存在を知り、優れたコンドーム製造へ利用できると直感。昭和七年(1932年)から独自の研究をスタートしました。

製品化を実現するにあたって大きな問題となったのは、強力な弾力性のあるゴムを作り出す工程である「加硫」にかかる時間。当時はこの加硫に三、四時間もの時間がかかっていました。

巳之助はこの加硫のスピードを速める促進剤を開発させるために、当時の世界的な化学会社バイエルの日本総代理店が持つ研究所に通い詰めたのです。

そして、昭和八年(1933年)末、ついに研究は完成。これは日本のゴム産業においてエポックメーキングな出来事となったのでした。

岡本ゴム工業所(現在の墨田区)
向島の工場の裏に流れる中川でのワンカット

岡本巳之助(左)